豚肉の中でも特に希少な部位として知られる「きんつる」。この部位は、一般的なスーパーではなかなかお目にかかれないため、食通の間で注目を集めています。きんつるは、その独特の味わいや食感が魅力で、料理に使うと特別な一品に仕上がります。
この記事では、きんつるの具体的な味わい、食感、そしてどのように調理するとその魅力を最大限に引き出せるのかを詳しく解説します。
豚きんつるとは?その特徴を探る
希少部位である豚きんつるとは何なのか?その部位の特徴や味わいを解説します。
きんつるの部位とその特徴
きんつるとは、オス豚のペニスの付け根の筋肉です。豚のホルモンの一種であり、オス豚一頭からわずかしか取れない希少部位として知られています。スーパーではほとんど見かけることはなく、焼肉店でも限られた店舗でしか味わえません。
その希少性は、オス豚からわずか中指1本分ほどしか取れないことに由来します。メス豚にはそもそも存在しない部位であるため、流通量が限られているのも納得です。
きんつるは筒状の形をしており、オス豚の精巣とペニスを繋ぐ役割から「ツナギ」と呼ばれることもあります。
きんつるの味や食感
きんつるの味は、脂っぽさがなく、あっさりとした淡泊な味わいが特徴です。
食感は、コリコリとした歯ごたえが特徴で、噛めば噛むほど、じんわりと旨味が染み出してきます。この独特の歯ごたえは、弾力がありながらも硬すぎない、絶妙なバランスです。砂肝に似ていると表現されることもありますが、砂肝よりも柔らかく、食べやすいと感じる人もいるでしょう。
焼き料理にすると、香ばしさが加わって、さらにおいしくいただけます。煮込み料理にすると、とろけるような柔らかさに変化するのも、きんつるならではの魅力です。
豚きんつるを楽しむための調理法
ここでは豚きんつるを美味しく食べることのできる調理法をご紹介します。
焼肉で味わうきんつるの魅力
焼肉できんつるを食べる最大のメリットは、なんといってもきんつる本来の美味しさをダイレクトに味わえる点にあります。新鮮なきんつるは、それだけで肉本来の甘みと独特の食感が楽しめますが、焼肉にすることでその魅力がさらに引き立ちます。
きんつるの淡白な味わいは、濃厚な味噌ダレや甘口ダレとの相性が抜群です。タレのコクと旨味が、きんつるの味わいを一層引き立て、ご飯が進むこと間違いなしです。
一方、塩ダレやレモン汁でシンプルにいただくのもおすすめです。きんつる本来の風味をより繊細に感じることができ、素材そのものの美味しさを堪能できます。お好みで、ピリッと辛いコチュジャンを加えてもよいでしょう。
さらに、サンチュで包んで食べるのもおすすめです。サンチュの爽やかな風味と、きんつるのコリコリとした食感が合わさることで、また違った美味しさを楽しめます。味噌やコチュジャンを少し加えれば、さらに風味豊かにいただけます。
炒め物で引き出すきんつるの旨味
きんつるの魅力は、なんといってもその淡泊さ。炒め物にすることで、他の食材のおいしさをぐっと引き立ててくれる名脇役です。シンプルな塩コショウとレモン汁で味付ければ、素材本来の旨味が際立つおつまみに。キンキンに冷えたビールとの相性も抜群です。
また、ニンニクやニラなど、香りの強い食材と組み合わせれば、ご飯が進む一品に変身します。豚バラ肉のコクをプラスしたり、ピリ辛に仕上げたり、アレンジは無限大。
煮込み料理で堪能するきんつる
きんつるといえば、コリコリとした食感が特徴ですが、実は煮込み料理にも最適な食材です。長時間煮込むことで、あの独特のコリコリ感は残しつつも、全体としては柔らかな食感に変化します。焼肉や炒め物で楽しむのとはまた違う、きんつるの新たな魅力を発見できるでしょう。
淡白な味わいのきんつるは、特に味噌との相性が抜群です。おすすめは、もつ煮込み風に味噌でじっくりと煮込む調理法。味噌のコクと香りがきんつるの旨味を引き立て、ご飯が進む一品です。また、きんつる本来の美味しさを活かしたい場合は、コンソメベースの洋風スープもおすすめです。野菜をたっぷり加えれば、体にも優しい一品になります。
豚きんつるを最高に焼き上げる技
きんつるの魅力を最大限に引き出す焼き方は、「ウェルダン」です。ただし、ただ闇雲に焼けば良いわけではありません。きんつるの持ち味である淡泊な旨味と、香ばしい焦げの風味を両立させるには、焼き加減が重要になります。
まず、網の端にきんつると置く位置を決めたら、弱火でじっくりと熱を通していきましょう。こうすることで、表面だけが焦げるのを防ぎ、中までふっくらと焼き上がります。
そして、全体に火が通ったら、網の中央に移し、強火で表面をカリッと香ばしく焼き上げましょう。焦げ目がついたら食べ頃です。キンキンに冷えたビールと一緒に、最高のきんつるをお楽しみください。
豚きんつるにぴったりのお酒選び
ここでは豚きんつると相性の良いお酒を紹介します。
きんつるに合うお酒①ビール
居酒屋の定番メニューである焼き鳥の「きんつる」。キンと冷えたビールのおつまみとして楽しむ方も多いのではないでしょうか?実はきんつるとビールは、想像以上に相性抜群の組み合わせです。
居酒屋の定番メニューといえば枝豆を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、きんつると枝豆には、程よい塩気と、噛むほどにクセになる食感が共通しています。
キンと冷えたビールの苦味と、きんつるの塩気、そして噛みしめるほどに溢れ出す肉の旨味は、まさに至高の組み合わせと言えるでしょう。キンと冷えたビールの炭酸がもたらす清涼感と、コリコリとしたきんつるの食感のハーモニーもたまりません。枝豆を超える、きんつるとビールの相性の良さを、ぜひ一度体感してみてください。
きんつるに合うお酒②焼酎
きんつるの繊細な味わいを最大限に引き出すなら、焼酎がおすすめです。クセのない味わいの焼酎は、きんつる本来の旨味を邪魔することなく、素材の持ち味を存分に引き立ててくれます。例えば、米焼酎のすっきりとした後味は、きんつるの上品な甘さを一層引き立て、至福の調和を生み出します。
一方、芋や麦など、原料由来の風味がしっかりとした焼酎を楽しむなら、きんつるは最高の肴と言えます。淡泊な味わいのきんつるは、焼酎の個性を消すことなく、その風味をより深く感じさせてくれます。
きんつると焼酎、それはどちらかが主役になるのではなく、互いの個性を尊重し、高め合う、まさに大人のための組み合わせと言えるでしょう。
豚きんつるの下処理方法
きんつるの下処理方法をご紹介します。
最初に、きんつるをパックから取り出し、キッチンペーパーで軽く水気を押さえましょう。
次に、きんつるに残っている余分な脂や汚れを丁寧に取り除きましょう。黄色っぽい脂の部分や、血合いと呼ばれる黒っぽい塊は臭みの原因となるため、特に念入りに取り除くのがポイントです。
最後に、食べやすい大きさにカットします。繊維を断つように斜めに切れ込みを入れると、火の通りが均一になり、味が染み込みやすくなります。
きんつるは鶏肉の中でも特に淡白な部位ですが、下処理を丁寧に行うことで、臭みが抑えられ、より美味しく仕上がります。
豚きんつるを使った絶品レシピ
豚きんつるの串焼きレシピ
豚きんつるの串焼きは、お酒にもご飯にも合う絶品料理です。今回は、お家で簡単にできる豚きんつるの串焼きレシピを紹介します。
豚きんつるは丁寧に下処理を行い、独特の臭みを消しておくことが重要です。下処理したきんつるに、酒と塩を揉み込み、下味をしっかりとつけましょう。このひと手間で、豚きんつるの旨味が引き立ちます。
下味をつけたきんつるは、火が通りやすいように細かく切り込みを入れていきます。その後、串に刺し、焼き色がつくまでじっくりと焼いていきます。焼き加減はお好みで調整してください。
香ばしく焼き上がった豚きんつるの串焼きは、そのままでも十分美味しいですが、味噌や甘口ダレなどの味付けもおすすめです。熱々を頬張れば、じゅわっと広がる脂の旨味と、甘辛いタレの風味がたまりません。お好みで、七味唐辛子や山椒をかけて召し上がれ。
豚きんつるの串焼きは、簡単に作れてお酒のおつまみにもぴったりなので、ぜひ一度お試しください。
味噌コチュジャンで煮込むきんつる
ピリ辛味が食欲をそぐ、「味噌コチュジャンで煮込む豚きんつる」のレシピをご紹介します。ご飯のおかずにはもちろん、お酒の肴にもぴったりな一品です。
はじめに、きんつるを軽く湯通ししておきましょう。ネギや生姜などの香味野菜を加えると、より一層臭みが抑えられます。
次に、大根とにんじんは皮をむいて一口サイズにカットします。こんにゃくはフォークで数カ所穴を開け、手で食べやすい大きさにちぎりましょう。
鍋にカットした大根、にんじん、こんにゃく、湯通ししたきんつる、水を加えて15分ほど煮込みます。
一度ゆで汁を捨て、新しい水を入れたら、酒、はちみつ、コチュジャン、味噌、にんにく、生姜、本だし、白だし、濃口醤油を加えてさらに15分ほど煮込みます。味噌とコチュジャンの量は、お好みの辛さに合わせて調整してください。
最後に器に盛り付け、お好みでネギや七味唐辛子を添えたら完成です。
豚きんつるのチキンスープ煮込み
鍋にオリーブオイルを入れ潰したニンニクを炒め香りを出します。
そこに玉ねぎを入れ炒め、にんじん・セロリも合わせ塩こしょうして炒めます。
炒まったら、チキン・きんつる・ハーブを入れ、骨付きの鶏肉が柔らかくなるまで煮ます。
鶏肉が柔らかくなったら鶏肉を鍋から取り出し骨からはずし、肉を細長く手でさきます。
鶏肉を鍋に戻し、じゃがいもを入れ火を通します。
塩こしょうで味を整え完成です。
まとめ:きんつるの希少性とその楽しみ方
豚きんつるはなかなかお目にかかることができません。
豚きんつるの味わいは、淡泊でありながらもしっかりとした旨味があり、コリコリとした独特の食感が特徴です。焼き肉でシンプルに味わうのはもちろん、炒め物や煮込み料理など、様々な料理で楽しむことができます。
豚きんつるの魅力は、その希少性と美味しさだけではありません。お酒との相性も抜群で、ビールや焼酎、日本酒など、どんなお酒にもよく合います。めったにお目にかかれない部位ではありますが、お店などで見かけた時はぜひ、この希少部位であるきんつるを味わってみてください。