焼肉を楽しむ際、メニューに「シビレ」という部位を見かけたことはありませんか?実は、この「シビレ」は牛肉の中でも知る人ぞ知る絶品部位なのです。
牛の「シビレ」とは、すい臓と仔牛の胸腺の部位を指します。仔牛の胸腺は特に「リードヴォー」と呼ばれ、フランス料理やイタリア料理でパテやソテーに使用されることが多いです。シビレはぷりぷりとした食感と、フォアグラに似たクリーミーな味わいが特徴。
今回はホルモン好きには絶対食べてほしい!この「シビレ」の魅力に迫っていきたいと思います!
シビレとは?牛肉の部位について
牛肉の部位には様々な種類がありますが、その中でも「シビレ」はとろける食感がたまらない超希少部位。このシビレについて
- シビレの特徴と部位の説明
- シビレの味わいと食感
- シビレのカロリーや栄養素
などについて解説していきます!
シビレの特徴と部位の説明
シビレは、牛の胸腺と膵臓を指す特殊な部位です。その名称は英語の「sweetbread(スイートブレッド / 膵臓のこと)」に由来し、日本語で「シビレ」と呼ばれるようになりました。
シビレの中でも、特に生後1年以内の子牛から取れる胸腺部分は「リードヴォー」と呼ばれ、高級食材として知られています。リードヴォーはフランス料理やイタリア料理で重宝され、パテなどの贅沢な料理に使用されることが多いです。
シビレの特徴的な食感は、ぷりぷりとした弾力があり、味わいはフォアグラに似たクリーミーさを持っています。この独特の食感と風味が、シビレを珍重される理由の一つとなっています。胸腺は牛の成長に伴い変化します。子牛の時期に最も発達し、免疫機能を高めるためにリンパ球を成熟させる重要な役割を果たします。しかし、牛が成長するにつれて胸腺は徐々に衰退し、脂肪に変化していきます。
この変化のため、シビレの質や量は牛の年齢によって異なります。脂肪が少なく、より繊細な味わいを求める場合は子牛から、より濃厚な風味を楽しみたい場合は成長した牛から取ることがあります。
シビレとリードヴォーは厳密には異なり、厳密にはリードヴォーはシビレの一部で、特に高品質な部位とされています。牛の成長とともに胸腺が衰退することから、質の高いシビレを得るためには、比較的若い牛から取ることが一般的です。この希少性も、シビレが珍重される理由の一つとなっています。
シビレの味わいと食感
シビレはフォアグラに例えられることが多いです。その理由は食感。口に入れた瞬間、なめらかな口当たりと、クリーミーな甘味が広がります。この部位の特徴は、その濃厚さと繊細さのバランスにあります。舌の上でとろけるような柔らかさがありながら、くどすぎずまろやかで濃厚な旨味が楽しめます。一口食べれば、豊かな風味と、舌を包み込むような滑らかな食感に驚くでしょう。
シビレの味わいは、白子にも似ていますが、より複雑で深みのある味わいが特徴です。淡白でありながら、力強い濃厚さも兼ね備えています。ただし、その濃厚さゆえに、初めて食べる人にとっては少し癖を感じる可能性もあります。しかし、この独特の味わいこそが、多くの食通を魅了し続けている理由でもあるのです。
シビレのカロリーと栄養素
- カロリー:303kcal
- タンパク質:11.5g
- 脂質:28.6g
- 炭水化物:2.36g
参考:U.S. DEPARTMENT OF AGRICULTURE – Beef, New Zealand, imported, sweetbread, raw
シビレは、100gあたり約303kcalと、牛肉の中では比較的カロリーの高い部位です。
しかし、その濃厚な味わいと同様に、栄養価も非常に豊富です。シビレはホルモン類に分類され、ビタミンB12や銅、カリウムなど、多くの栄養素を含んでいます。これらの栄養素は、肌に輝きを与えたり、むくみ解消など、様々な健康効果をもたらします。
シビレは、これらの栄養素を効率的に摂取できる優れた食材と言えるでしょう。
シビレの美味しい食べ方とレシピ
シビレの美味しい食べ方について!
- シビレのおすすめ食べ方①焼肉
- シビレのおすすめ食べ方②ソテー
- シビレのおすすめ食べ方③煮込み料理
どの食べ方も美味しいですがベーシックな3種類を解説します!
シビレのおすすめ食べ方①焼肉
「シビレ」の旨味を最大限に引き出すなら、焼肉は外せない調理法です。網の上でジュージューと焼かれるシビレは、食欲をそそる香ばしさがたまりません。焼き加減によって、食感の変化を楽しめるのも焼肉の魅力です。表面をカリッと焼き上げれば、香ばしさと共に、とろけるようなクリーミーな食感が楽しめます。また、レア気味に焼き上げれば、ぷるぷるとした弾力のある食感と、濃厚な旨味が口いっぱいに広がります。
シビレは、シンプルに塩コショウで肉の旨味を味わうのも良し、味噌ダレや醤油ダレなどの味付けでご飯が進む一品にするのもおすすめです。さらに、レモンを絞れば、さっぱりとした後味になり、いくらでも食べ進められます。お酒との相性も抜群なので、ビール片手に楽しむのも良いでしょう。
シビレのおすすめ食べ方②ソテー
シビレは、ソテーにすることで、その独特のふわふわとした食感を存分に楽しむことができます。おすすめは、揚げ焼きのようにカリッと仕上げる調理法です。バターでじっくり火入れすることで、表面はカリッと香ばしく、中はふんわりとクリーミーな、たまらない食感に仕上がります。
シビレ自体から良質な脂がじんわりと溶け出すので、より素材本来の旨味を味わえます。シンプルに塩コショウで味付けするだけでも、シビレの濃厚な味わいを堪能できます。おすすめはソテーしたシビレにバルサミコを垂らすと絶品です。他にもレモンを絞ったり、ポン酢や大根おろしなどの薬味を添えても美味しくいただけます。
シビレのおすすめ食べ方③煮込み料理
シビレは、その独特な食感と濃厚な旨味から、焼肉や炒め物で楽しまれることが多いですが、実は煮込み料理にも最適な食材です。じっくりと火を通すことで、シビレの持つ旨味が溶け出し、他の食材と混ざり合うことで、奥深い味わいの煮込み料理に仕上がります。
例えば、コラーゲンたっぷりのもつ煮込みにシビレを加えれば、コクと旨味がプラスされ、さらに濃厚な味わいが楽しめます。また、洋風の煮込み料理にも相性が良く、ビーフシチューやトマト煮込みに加えれば、ワンランク上のレストランのような味わいに。シビレの脂が溶け出したスープは、コクと香りが格別で、最後の一滴まで飲み干したくなるほどです。
シビレが美味しくなる焼き方
ホルモンの中でも特に脂の乗ったシビレ。その濃厚な味わいは、お酒との相性も抜群ですが、焼き加減によって美味しさが大きく変わってくることをご存知でしょうか。
シビレを最高の状態で楽しむには、ミディアムレアに焼き上げるのがおすすめです。表面はカリッと香ばしく、噛んだ瞬間の滑らかな口当たりとクリーミーな脂の甘み。この絶妙なバランスを実現するためには、強火で短時間焼くのがポイントです。
焼き網の中央ではなく、火力の少し弱い端にシビレを乗せ、片面を約30秒ほど焼いたら裏返しましょう。裏返したら、再び30秒ほど焼けば、表面はカリッと、中はとろけるようなミディアムレアの焼き加減に仕上がります。焼きすぎると、せっかくの脂が落ちてしまい、パサパサとした食感になってしまうので、注意が必要です。
シビレの捌き方と下処理方法
シシビレの捌き方と下処理方法をご紹介します。
まず、シビレを1時間ほど水に漬けて分泌物を取り除きます。次に、余分な脂や薄皮をトリミングします。これにより、シビレの食感が良くなります。
次に、シビレを食べやすい大きさにカットします。シビレには簡単に切れる切れ目があるので、そこに包丁を差し込みます。この切れ目を利用すると、スムーズにカットできます。
最後に、お好みで味付けを行います。シビレは脂が多いため、手で触りすぎると溶けてしまうことがあります。素早く捌くことを意識してください。
シビレのおすすめレシピ
シビレの美味しい食べ方については解説しましたが、ここでは具体的なレシピとして
- リードヴォーソテーの作り方
- 香草パン粉焼きの作り方
- シビレもつ煮込みの作り方
リードヴォーソテーの作り方
下処理したシビレ(リードヴォー)を3〜4cm程度の厚さにカットします。サイズを均一にすることで、調理時間が均等になり、美しい仕上がりになります。カットしたシビレ(リードヴォー)は、キッチンペーパーでしっかりと水気を拭き取ります。
フライパンにバターとオリーブオイルを熱し、中火で両面をこんがりと焼き上げます。焼き時間は片面3〜4分程度で、表面がきつね色になるまで丁寧に焼きます。焦げすぎないよう注意しながら、中はふっくらと仕上げるのがコツです。
仕上げには、レモンを添えるのが一般的です。レモンの酸味がリードヴォーの濃厚な味わいを引き立て、さっぱりとした後味を演出します。また、付け合わせにはグリーンサラダやボイルドベジタブルを添えると、バランスの取れた一皿になります。
シビレの香草パン粉焼きの作り方
- 下準備として、下処理したシビレ(150g)に塩コショウ(少々)をふって10分ほど置き、キッチンペーパーで水気を拭き取っておきましょう。
- ボウルにパン粉(50g)、みじん切りにしたパセリ(大さじ1)、粉チーズ(大さじ2)、ハーブソルト(小さじ1/2)を入れ、混ぜ合わせます。お好みで、粉チーズとハーブソルトの量は調整してくださいね。
- フライパンにオリーブオイル(大さじ1)をひき、中火で熱します。
- シビレに混ぜ合わせたパン粉をまぶし、フライパンに並べます。
- 両面にこんがりと焼き色がついたら、お皿に盛り付けます。仕上げに、レモンやライムを添えれば、爽やかな香りが食欲をそそる、見た目も美味しい一品が完成!
パン粉のサクサクとした食感と、ハーブの香りが食欲を刺激する「シビレの香草パン粉焼き」。ぜひお試しください。
シビレもつ煮込みの作り方
旨味が染み渡る、シビレもつ煮込みのレシピをご紹介します。ご飯のお供としてはもちろん、お酒にもよく合う一品です。
まずは下処理したシビレを食べやすいようにカットし、冷蔵庫にしまっておきます。次に、こんにゃくはスプーンで一口大にちぎり、大根とにんじんは1.5cm角にカットします。こんにゃくは手でちぎることで、味が染み込みやすくなります。
鍋にサラダ油大さじ1を熱し、弱火でシビレを炒めます。表面が白っぽくなったら、こんにゃく、大根、にんじんを加えてさらに炒めます。野菜がしんなりしてきたら、水600ml、酒大さじ2、砂糖大さじ1、みりん大さじ1、醤油大さじ3を加え、強火で煮立たせます。
煮立ったら弱火にし、アクを取り除きながら30分ほど煮込みます。時間をかけてじっくり煮込むことで、シビレがとろとろになり、味が染み込みます。仕上げに、味噌大さじ1を加えて溶かし、豆腐をスプーンですくうように加えます。豆腐は崩れやすいので、優しく加えましょう。
器に盛り付け、お好みで小ねぎや七味唐辛子を添えて、熱々を召し上がれ。
シビレに合うお酒
シビレはお酒のつまみとしても最高です。ここではシビレとペアリングに最適なお酒として
- シビレに合うビール
- シビレに合う白ワイン
- シビレに合う焼酎
をご紹介します。
シビレに合うビール
シビレは脂が多く、濃厚な味わいが特徴です。そんなシビレに最適なビールは、すっきりとした炭酸とキレのある苦みを持つものです。ビールの炭酸がシビレの脂を洗い流し、口の中をリフレッシュしてくれるため、脂っぽさが気にならずに食べ続けることができます。
特に、キンキンに冷えたビールはシビレのアツアツ感と相性抜群です。冷たいビールを一口飲むたびに、シビレの濃厚な味わいが一層引き立ちます。ビールの爽快感とシビレの旨味が絶妙に調和し、食事の楽しみが倍増します。
シビレを楽しむ際には、ぜひビールをお供に。特にIPAやラガーなど、苦みがしっかりしたビールがおすすめです。これらのビールはシビレの脂っこさを程よく中和し、最後まで美味しくいただけます。
シビレに合う白ワイン
シビレをソテーや煮込み料理として楽しむ際には、白ワインが非常におすすめです。特にスパイシーな味付けの場合、さっぱりとしてキレのある辛口の白ワインがシビレの風味を引き立ててくれます。例えば、ソーヴィニヨン・ブランやピノ・グリージョなどがその役割を果たします。
一方、味が濃い料理と合わせる際には、フルーティーな味わいと甘味のバランスが良い甘口の白ワインがぴったりです。リースリングやゲヴュルツトラミネールなどの品種は、シビレの脂と相性が良く、双方の甘さをバランス良く楽しむことができます。
このように、シビレの料理に合わせる白ワインを選ぶことで、料理の魅力を一層引き立てることができます。
シビレに合う焼酎
シビレに合う焼酎を選ぶ際には、香りとキレが重要な要素となります。シビレは脂が多く、独特の風味を持つ部位です。そのため、芋や麦などの香りが高い焼酎がよく合います。例えば、芋焼酎の「黒霧島」や麦焼酎の「百年の孤独」は、シビレの濃厚な味わいに負けない強い香りを持っています。
特に、脂の多いシビレには、さっぱりとした後味を持つ焼酎が好相性です。キレが強い焼酎を選ぶことで、脂の重さを感じさせず、最後まで美味しく楽しむことができます。代表的な銘柄としては、芋焼酎の「赤霧島」や麦焼酎の「中々」が挙げられます。
また、シビレの脂っこさに飽きないようにするためには、飲み口がさっぱりとした焼酎が理想です。例えば、「三岳」や「佐藤」などの銘柄は、シビレとの相性が抜群です。これらの焼酎は、シビレの風味を引き立てつつ、飲み飽きないバランスの良さを持っています。
シビレを楽しむ際には、焼酎の選び方にこだわることで、食事全体の満足度が大きく向上します。ぜひ、自分好みの焼酎を見つけて、シビレとの絶妙なマリアージュを楽しんでみてください。
まとめ:シビレの魅力
シビレは、牛肉の中でも特別な存在です。その独特な食感と濃厚な風味は、多くの肉通を魅了してきました。希少部位ゆえに入手困難ですが、その価値は十分。なめらかで濃厚な食感とクリーミーな脂のバランスが絶妙で、口の中でとろける柔らかさとともに、濃厚な旨味が楽しめます。
シビレは、ソテーや焼き肉、煮込みなど様々な調理法で楽しめるのも魅力の一つ。和牛の中でも最高級とされる松阪牛や神戸牛のシビレは、まさに至高の味わい。一度食べれば、その魅力にとりつかれること間違いなしです。牛肉好きなら、ぜひ一度は味わってみてください。