サーロインはどこの部位?特徴やロースとの違い・美味しく食べる方法

「サーロイン」は、高級肉として知られ、ステーキに使用されることが多い部位です。しかし、その部位が牛のどこに位置し、どのような肉質を持つのかをご存じない方も多いのではないでしょうか。また、「サーロイン」と頻繁に耳にする「ロース」とは、どのような関係があるのでしょうか。

黒毛和牛のサーロインは、豊かな霜降りと柔らかな食感が特徴で、その旨みは極上です。正しい調理法や食べ方を知ることで、その美味しさを一層引き出すことができます。

今回は、サーロインの部位の特徴やロースとの違い、そしておすすめの食べ方について詳しくご紹介します。

目次

サーロインはどこの部位?名前の由来

「サーロイン」とは、牛の腰の上部に位置する部位です。「ロイン」は英語で「loin」と書き、腰肉を意味します。サーロインの名前の由来には諸説あります。

有名な説の一つは、16世紀のイングランド王ヘンリー8世にまつわる話です。彼はサーロインのあまりのおいしさに感動し、”Sir”という騎士の称号を与えた、という逸話が残っています。

また、フランス語起源という説もあります。14世紀のフランスでは、サーロインは「surlonge(シュールロンジュ)」と呼ばれていました。”sur”は「上」、”longe”は「腰肉」を意味し、英語の”loin”の語源でもあります。つまり、「腰の上部の肉」を指していたことになります。

このように、サーロインの名前の由来には諸説ありますが、いずれも「腰の上部の肉」という点では共通しており、時代を超えて愛されてきた高級部位であることがわかります。

サーロインの味の特徴

サーロインは牛肉の高級部位として知られ、きめ細やかで柔らかい食感が最大の特徴です。赤身と赤身の間に網目状に脂肪が入っている部分を「サシ」と呼びますが、サーロインはこのサシがバランス良く入り込んでいるため、ジューシーな味わいが生まれます。赤身と脂、それぞれに上品な旨味があります。

和牛と輸入牛のサーロインを比較すると、それぞれに個性があります。輸入牛は赤身が多いため、肉本来の力強い味わいを堪能できます。一方、和牛はきめ細かいサシが入り込んだ霜降り状で、融点の低い脂が口の中でとろけるような食感を生み出します。加熱すると甘い香りが漂い、より一層食欲をそそるのも和牛の特徴です。

特に黒毛和牛のサーロインは、まさに牛肉の芸術作品と言えるでしょう。

サーロインのカロリーや栄養価

牛の腰の上部に位置しとろける美味しさのサーロインですが、そのカロリーは栄養価はどのようなものなのでしょうか?こちらで輸入牛肉と和牛のサーロインのカロリーや栄養価などについて解説します!

サーロインのカロリー・3大栄養素

100gあたりサーロイン(輸入牛)サーロイン(和牛)
カロリー273kcal460kcal
タンパク質17.4g11.7g
脂質23.7g47.5g
炭水化物0.4g0.3g
参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年丨文部科学省

輸入牛肉のサーロインは100gあたりタンパク質17.4gと高タンパク質な食材です。また、炭水化物も0.4gと低糖質。ただし、部位の特性上、高脂質食となることは避けられません。

一方で和牛のサーロインは100gあたりカロリーが460kcalと輸入の牛肉より1.5倍ほど。PFCバランスは極端に脂質が高く、47.5gと和牛ならでは。味わいとしては和牛の方が強い脂の甘味を味わえますが、和牛の中でもかなりハイカロリーな部位です。

輸入牛であれ和牛であれ、日常的な食事よりも特別な日のご褒美のような感覚で食べられるとより味わいを楽しめると思います。

サーロインの栄養価について

サーロインに含まれる中でも多いビタミン・ミネラルとしては

  • 亜鉛
  • ビタミンB12やナイアシンといったビタミンB郡

が多く含まれます。

特に、サーロインには亜鉛が豊富に含まれています。亜鉛は体内で作ることができず、ホルモンバランスの調整や免疫機能に影響するので、食品から積極的に接種したいミネラルのひとつ。

その他、ビタミンB群など健康維持に欠かせない栄養素が豊富に含まれています。

サーロインの美味しい食べ方

サーロインの味わいや栄養価について解説してきましたが、ここではサーロインの魅力を存分に味わえる、おすすめの食べ方を3つご紹介します!

サーロインの美味しい食べ方①ステーキ

サーロインは、きめ細やかなサシと濃厚な肉の旨味が特徴で、ステーキに最適な部位と言えるでしょう。霜降り肉特有の脂の甘みと赤身のバランスが良く、一口食べれば、とろけるような食感とジューシーな肉汁が口いっぱいに広がります。特に和牛サーロインは、そのきめ細やかさと芳醇な香りが格別。シンプルに塩胡椒で味付けしても、素材本来の旨味を存分に堪能できます。

おすすめは、ミディアムレアの焼き加減。表面は香ばしく焼き上げ、中は肉汁を閉じ込めることで、肉の柔らかさとジューシーさを最大限に引き出せます。焼きあがったステーキに、ほんのりとピンクソルトを振れば、肉の甘みが一層引き立ちます。また、わさび醤油やガーリックバター、オニオンソースなど、お好みのソースでアレンジするのも良いでしょう。和風仕立てならわさび醤油、洋風ならガーリックバターで、サーロインステーキの味わいをさらに深めることができます。

サーロインの美味しい食べ方②焼肉

サーロインは焼肉に最適な部位。きめ細かいサシが美しい霜降り肉は、網に乗せるとジュワッと肉汁が溢れ、食欲をそそる香りが立ち上がります。炭火でじっくりと焼き上げることで、表面はカリッと香ばしく、中は肉本来の旨みが凝縮されたレアな状態に。一口食べれば、とろけるような食感と、濃厚な肉の旨みが口いっぱいに広がります。

サーロインの特徴は、なんといってもそのバランスの良さ。赤身の力強い味わいと、霜降りのまろやかな甘みが絶妙に調和し、深いコクと風味を生み出します。噛めば噛むほど、肉汁が溢れ出し、至福のひとときを味わえるでしょう。脂の甘みの中に、ほのかにナッツのような香ばしさも感じられ、さらに風味を豊かにしています。肉質は柔らかく、適度な歯ごたえもあるので、満足感も十分。噛んでいても雑味は一切なく、肉の旨みを存分に堪能できます。

焼き加減はお好みですが、表面に軽く焼き色がついたレアの状態がおすすめ。わさび醤油や岩塩など、シンプルな味付けで素材本来の味を楽しむのが良いでしょう。肉の旨みが際立ち、ご飯との相性も抜群!ついつい食べ過ぎてしまうのも納得の美味しさです。ぜひ、極上のサーロイン焼肉をご家庭で楽しんでみてください。

サーロインの美味しい食べ方③ローストビーフ

サーロインのローストビーフは、きめ細かい肉質と霜降りのバランスが絶妙で、まさに牛肉の王道的な味わい。ジューシーな肉汁と芳醇な香りが口いっぱいに広がり、特別な日のディナーにぴったりです。

ローストビーフを作る際は、和牛サーロインを選ぶのがおすすめです。和牛はきめ細かい筋繊維と美しい霜降り、そしてとろけるような柔らかさが特徴。サーロインはその中でも特にサシが入りやすく、ローストビーフに最適な部位と言えるでしょう。

薄切りもいいですが、おすすめは厚切り。焼きあがったばかりのローストビーフを分厚くカットすれば、肉本来の旨味と溢れ出る肉汁を存分に堪能できます。ぜひ、出来たての美味しさを味わってみてください。

サーロインの選び方のポイント

サーロインについて名前の由来や味わい、おすすめの食べ方などに解説してきました。せっかく美味しく食べるなら、新鮮で美味しいサーロインを手に取りたいですよね。そこでここでは美味しいサーロインの選び方に関して

  • サーロインの赤身の色合い
  • ドリップ(赤い液体)の有無
  • 脂身のツヤ感

という3つのポイントから解説します!

選び方のポイント①赤身の色合い

美味しいサーロインを選ぶなら、まず赤身の色合いに注目しましょう。新鮮なサーロインの赤身は、鮮やかなチェリーレッドのような色をしています。

時間が経つと、この鮮やかな赤色が徐々に黒ずんでいき、乾燥によりパサパサとした見た目になってしまいます。

新鮮なサーロインは、みずみずしい光沢を帯びており、鮮やかな赤色というよりは濃い赤色をしています。

また、美しい赤身と脂肪のグラデーションも重要なポイントです。例えば、A5ランクのサーロインは、きめ細やかな霜降り肉と鮮やかな赤身のコントラストが美しいです。牛肉本来の旨味を堪能するには、新鮮なサーロインを選ぶことが大切です。

選び方のポイント②ドリップの有無

パックに溜まった赤い液体、ドリップは肉の旨み成分が流出してしまっているサインです。スーパーでサーロインを選ぶ際は、このドリップの有無をチェックすることが重要になります。

ドリップが多いと肉の風味やジューシーさが損なわれてしまいます。新鮮なサーロインは、ハリと弾力があり、ドリップはほとんど出ていません。パック詰めのサーロインを選ぶ際には、ドリップの量が少ないか、もしくは全く出ていないものを選びましょう。

多くの場合、パックの下にドリップを吸収するためのシートが敷かれています。このシートが真っ赤に染まっている場合は、ドリップが大量に出ている証拠。シートの色が薄いピンク色、あるいは白い状態のサーロインを選ぶのがおすすめです。購入後は鮮度が落ちる前に、できるだけ早く調理するのがベストです。

選び方のポイント③脂のツヤ

美味しいサーロインを選ぶ際、見逃せないポイントが脂のツヤです。上質なサーロインの脂は、まるで宝石のように輝き、滑らかな質感を持っています。これは、融点の低い上質な脂はチルド状態でもツヤを維持できるため。温度変化によって表面に凹凸が生まれることなく、美しい照りを放つのです。

一方、質の低いサーロインの脂は、融点が高いためチルド状態では固く、表面がザラザラしたりボコボコしたりしていることがあります。例えば、スーパーでパックされたサーロインを選ぶ際、脂の部分をよく観察してみてください。なめらかなツヤがあるものは融点が低く、口の中でとろけるような食感を味わえます。反対に、ツヤがなく表面が粗いものは、融点が高く、加熱しても固くパサついた食感になる可能性が高いでしょう。

つまり、サーロインを選ぶ際は、赤身だけでなく脂の質にも注目することが重要です。美しいツヤと滑らかな表面は、美味しいサーロインの証と言えるでしょう。

サーロインとロースの違いを理解しよう

サーロインとロース、どちらも高級部位として人気ですが、その違いをご存知でしょうか。実はサーロインはロースの一部なのです。牛の背中側の大きな塊肉をロースと呼び、その中でも腰の部分にあたるのがサーロインです。

ロースは、肩に近い方から肩ロース、リブロース、そして腰の部分のサーロインの3つに分けられます。

  • 肩ロース:赤身と脂身のバランスがよく、程よい霜降りで濃厚な味わいが特徴。
  • リブロース:きめ細かい霜降りと柔らかな肉質が魅力で、ステーキやローストビーフに最適。
  • サーロイン:最も霜降りが多く、とろけるような食感と濃厚な旨みが絶品です。

つまり、ロースは部位の総称であり、サーロインはその一部にあたるということ。牛肉のロースの中でも、サーロインは最高級部位として扱われます。ちなみに、豚や羊にもロースはありますが、サーロインは牛にしかない部位です。

サーロインの種類とその特徴

サーロインと一口に言ってもその産地によって特徴にはやや違いがあります。ここでは特に、日本での消費量が多いサーロインの産地として

  • 黒毛和牛サーロイン
  • アメリカ産サーロイン
  • オーストラリア産サーロイン

についてそれぞれ特徴を解説します!

黒毛和牛サーロインの特徴

黒毛和牛サーロインは、牛肉の中でも特に霜降りと柔らかな肉質が特徴です。きめ細やかなサシ(脂肪)が網目状に入り、美しい見た目も魅力の一つ。

この霜降りは、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4品種に分類される黒毛和牛を、長期間丁寧に肥育することで生まれます。

融点が低い脂肪は、口の中でとろけるような食感と濃厚な旨味をもたらします。和牛全体の約9割を占める黒毛和種は、特にきめ細かい霜降りが入りやすい傾向があります。

また、穀物飼料による飼育は、肉質を柔らかくし、特有の甘い香りを生み出します。この香りの成分はラクトンと呼ばれ、サーロインを焼いた際に食欲をそそります。ステーキとしてシンプルに味わうのはもちろん、すき焼きやしゃぶしゃぶにしても絶品です。

アメリカ産サーロインの特徴

アメリカ産サーロインは、その独自の飼育方法により、柔らかく風味豊かな肉質が特徴です。アメリカでは主に以下の方法で牛が飼育されています。

グレインフェッドでは、生後約1年から穀物を主体とした飼料で肥育し、臭みの少ない柔らかな牛肉を生み出します。一方、フィードロットでは、出荷前の牛を柵内で高栄養価の飼料で肥育し、適度な脂肪が加わった柔らかな肉質が得られます。

日本に輸入されるアメリカ産牛肉の多くは、フィードロットで育てられたものです。また、2020年1月1日より日本政府が関税を引き下げたことで、アメリカ産牛肉は手頃な価格で入手できるようになりました。リーズナブルな価格で臭みのない美味しいサーロインを楽しみたい方におすすめです。

オーストラリア産サーロインの特徴

オーストラリア産サーロインは、「オージービーフ」の愛称で親しまれています。広大な自然環境で放牧された牛は、主に牧草を餌として育つグラスフェッド方式で飼育されます。これは牛にとってストレスが少なく、運動量が多いため、赤身が多く引き締まった肉質が特徴です。

牧草で育った牛肉は独特の風味を持ち、栄養価が高い点でも注目されています。オーストラリアでは動物福祉を重視した飼育方法が採用されており、その品質は世界的にも評価が高いです。

サーロインは適度な脂肪と柔らかな食感が魅力ですが、牧草由来の香りが気になる場合もあります。その際は、ハーブやスパイスを使った調理法がおすすめです。オーストラリア産サーロインの豊かな味わいを、ぜひ一度お試しください。

ランプ肉を使ったきほんのステーキのレシピ

牛肉の旨味を贅沢に味わえるサーロインは、ステーキに最適な部位です。きめ細やかで柔らかな肉質でありながら、ヒレ肉に比べてリーズナブルに入手できるのも嬉しい点。

赤身肉の濃厚な味わいと、ジューシーな脂と香りのバランスが絶妙で、飽きずに食べ進められます。今回は、そんなサーロインを使った基本のステーキレシピをご紹介します。牛脂やバターで焼き上げれば、さらにジューシーな味わいに仕上がります。ご家庭でぜひ試してみてください。

[材料](1人前)

  • サーロイン:200g
  • 塩こしょう:適量
  • オリーブオイル:大さじ1/2

作り方

アルミホイルを包むようにかぶせ、5〜10分ほどおいて完成

サーロインは30分ほどかけて常温に戻し、焼く直前に両面に塩こしょうをふる。

フライパンにオリーブオイルを入れて中火で熱し、フライパンをあたためる。

サーロインをフライパンに入れ、焼き色がついて表面に赤い肉汁が出てくるまで1分〜1分30秒ほど焼く。裏返し、焼き色がつくまで1分ほど焼く。側面も色が変わるまで焼き付けて取り出す。

サーロインを使ったおすすめ料理:黒毛和牛サーロインのステーキサンド

黒毛和牛サーロインを使ったステーキサンドは、贅沢な食材の魅力を最大限に引き出す料理です。厚さ2センチほどのサーロインを、ミディアムレアに焼き上げることがポイント。表面は香ばしく焼き、中は程よいピンク色を残すのがベストでしょう。高級食パンやバゲットなど、パンの選択も重要な要素となります。

付け合わせには、新鮮なレタスやトマト、オニオンスライスを添えるのがおすすめ。サーロイン本来の旨味を引き立てるため、ソースは軽めのマスタードやわさびを使用しましょう。和牛サーロインの脂の甘みと、パンのサクッとした食感が見事にマッチした一品に仕上がります。一般的なステーキサンドの相場は2,500円から3,000円ほどですが、黒毛和牛を使用する場合は4,000円前後が目安になります。

サーロインに関するよくある質問

サーロインはきめ細やかな霜降り、とろけるような食感、濃厚な旨みが特徴です。牛肉の中でも人気の高い部位で、特別な日のごちそうとして選ばれることも多いでしょう。そんなサーロインは、ステーキはもちろんのこと、ローストビーフや焼き肉など、様々な料理に適しています。

サーロインを選ぶ際には、霜降りの具合、色、そして脂の質に注目することが大切です。鮮やかな赤身と、きめ細かく入った白い霜降り、そしてつややかな脂が上質なサーロインの証です。

調理方法も、シンプルに焼くだけでも美味しくいただけます。厚切りステーキにして、肉の旨みを存分に味わうのも良いですし、薄切りにして、さっと炙るように焼いて、野菜と一緒に楽しむのもおすすめです。好みの焼き加減で、サーロインの魅力を最大限に引き出しましょう。ぜひ、色々な調理法を試して、お気に入りの食べ方を見つけてみてください。

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