牛肉のウデって?部位からとれるミスジ、ウワミスジ、トウガラシ、クリも紹介

牛肩肉ステーキ用(ミスジ)。静岡県産

牛肉を食べるとき、ロース・ヒレ・モモなどの部位はよく耳にしますが、「ウデ」という部位はあまり馴染みがないかもしれません。

この記事では、あまり知られていないウデ肉の魅力に迫ります。さらに、ウデをさばくことでとれるミスジ・ウワミスジ・トウガラシ・クリという4つの部位について徹底紹介します!

目次

牛肉の『ウデ』ってどこの部位?

牛肉の「ウデ」は、牛の前脚の付け根、肩甲骨周辺のお肉を指します。脚全体をイメージしがちですが、前脚と後ろ脚のお肉は「スネ肉」にあたります。ウデ肉は肩甲骨を覆うように様々な筋肉が集まっているため、部位によって肉質は大きく異なります。ウデ肉は、よく動かす部位なので赤身が多く、濃厚な旨味が特徴です。しかし、一言でウデ肉と言っても、その中には様々な部位が存在します。

例えば、

  • ミスジ
  • ウワミスジ
  • トウガラシ(トンビ)
  • クリ
  • コサンカク(カワラ)
  • マクラ(ニノウデ)

など、個性豊かな部位が揃っています。このように、ウデ肉は多様な味わいが楽しめる奥深い部位と言えるでしょう。各部位ごとにユニークな名前やその由来があり、それぞれの味わい深さがあります。

今回はウデの中でも人気の、ミスジ、ウワミスジ、トウガラシ(トンビ)、クリについて解説していきます!

ウデ肉の部位①:ミスジ

ウデ肉の部位の一つであるミスジは、その独特な霜降りが特徴です。かための肉になりがちなウデにありながら、ミスジ部位は厚切りにしても柔らかさを保つため、ステーキや特上カルビとして提供されることも。

ミスジの中心には太いスジが通っていますが、このスジは硬くなく、食感に影響を与えません。焼肉店やステーキハウスで人気の高い部位で、その風味豊かな味わいが多くの人々に愛されています。

ミスジの味や特徴

ミスジは、焼肉屋さんで見かけることも多い人気の部位ですが、実は牛のウデ肉の一部。肩甲骨から手首にかけての内側、肩甲骨の裏側についている部位を指します。ミスジの名前の由来は、その部位に特徴的な3本の筋が入っていることから来ています。

ウデ肉は、牛がよく動かす部位なので、一般的に筋肉質で硬くなりがち。しかし、ミスジは細かい動きに関わる部分のため、他のウデ肉とは違い、きめ細かい繊維質で柔らかい肉質が特徴です。

また、サシも細かく入り、霜降り状になるため、赤身と脂のバランスが良く、濃厚な旨味とジューシーな脂の甘みが同時に味わえます。赤身の旨味とサシの甘みの両方が楽しめる、まさにウデ肉の花形といえるでしょう。真ん中に入った筋の食感もアクセントになり、多くの人に愛される部位です。

スジが入っているときくと硬い肉を想像しますgた、ミスジの筋はゼラチン質であり、融点が低いため、熱を加えると柔らかくなります。例えば、焼肉として調理すると、この筋がとろけるような食感になります。多くの焼肉店ではミスジをそのまま提供することもありますが、一部の店では特上カルビとして提供されることもあり、そのとろける食感が高く評価されています。

ミスジのおいしい食べ方

焼肉

ミスジは、焼肉として味わうのがおすすめです。サッと炙るように焼けば、肉の旨味が口いっぱいに広がります。わさび醤油や塩などでシンプルにいただくのがおすすめです。焼肉のタレとの相性も抜群です。

ステーキ

ミスジは、細かいサシが特徴で、ステーキで食べると非常においしい部位です。特に、牛脂のとろけるよう食感と赤身のうまみが絶妙なバランス。ミディアムレアに焼くことで、肉のジューシーさを最大限に引き出すことができます。

ミスジを焼く際は、シンプルな塩と胡椒で味付けをするのが一般的ですが、ガーリックバターやハーブを使ったソースも相性抜群です。焼き上がったミスジは、数分間休ませることで肉汁が落ち着き、よりジューシーな仕上がりになります。

ウデ肉の部位②:ウワミスジ

ウワミスジはその名の通り、ミスジの上部に位置するウデ肉の部位です。

ウワミスジの味や特徴

ウワミスジはその名の通り、ミスジの上部に位置するウデ肉の部位ということでこの呼ばれ方をします。

ウワミスジは、肩甲骨の上側に位置する赤身の部位です。よく動かす部位であるため、味が濃く、赤身の風味が際立ちます。ミスジと比較すると脂が少なく、より赤身が多いのが特徴です。

赤身ながら非常に滑らかで柔らかい食感を持ち、厚みがないため焼肉カットに適しています。ただし、焼きすぎると固くなりやすいので、適度な焼き加減が求められます。

ウワミスジのおいしい食べ方

よく動かす部位なので、赤身が多く、濃厚な旨味が特徴です。ミスジよりも脂身が少ないため、あっさりとした味わいを楽しみたい方におすすめです。

薄切りにすることが多いウワミスジは、焼肉や炙りに最適です。サッと火を通すことで、肉の柔らかさとジューシーさを存分に味わえます。焼きすぎると固くなってしまうので、注意が必要です。レア気味に仕上げるのが、ウワミスジをおいしく食べるコツです。

濃厚な赤身の旨味と、あっさりとした後味が魅力のウワミスジ。ぜひお好みの食べ方で、そのおいしさを堪能してみてください

ウデ肉の部位③:トウガラシ(トンビ)

トウガラシは牛肉の中でも希少部位のひとつで、肩甲骨付近の外側に位置しています。この部位は関西ではトンビと呼ばれ、輸入食材としてはChuck Tender(チャックテンダー)として知られています。トウガラシの特徴は、脂肪が少なく、赤身が多いことです。そのため、ヘルシー志向の方にも人気があります。

トウガラシは、その希少性から一般的にはあまり流通していませんが、専門店や高級レストランでは見かけることがあります。焼肉屋で見かけた際には、ぜひ一度試してみてください。

トウガラシ(トンビ)の味や特徴

ウデ肉の中にある、細長い形が唐辛子に似た円錐形をしていることから「トウガラシ」と呼ばれる部位。赤身肉ながらきめ細かい繊維が特徴で、ウデの中でも特別な香ばしさと味わいが魅力です。

多くの人がイメージする「硬い」というよりは、歯切れが良く、独特の歯ごたえを楽しめる部位と言えるでしょう。中心に太いスジがあるので、調理前に取り除くのがポイントです。

トウガラシ(トンビ)のおいしい食べ方

薄切りにしてローストビーフにしたり、ブロックのまま焼いてから削って食べるのもおすすめです。焼肉はもちろん、カレーなどの煮込み料理にも活用できます。ただし、ステーキのように分厚くカットすると噛み切れなくなるので注意が必要です。

ウデ肉の部位③:クリ(クリミ・カタサンカク)

クリは、牛の前足の上部、肩から続く腕の部分のお肉を指します。形は三角形をしており、ウデの中でも一番大きくメインとなる部位です。

クリの味や特徴

ウデ肉の中でも前脚の上部にある「クリ」は、「ウワミスジ」のように運動量が多い部位なので、脂身が少ない赤身肉ですが、きめ細かいサシが入っているのが特徴です。そのため、赤身肉でありながら、固くなりすぎず、適度な柔らかさを楽しむことができます。高齢者の方など、筋力維持のために赤身肉を食べたいけれど、硬い肉はちょっと…という方にもおすすめの部位です。

焼肉で食べるなら、カットしたものをさっと焼いて食べるのがおすすめです。塊のまま焼いて、レアな状態で削ぎ落として食べるのも良いでしょう。

場所によって肉質が異なり、きめ細かい部分と粗い部分が混在しているのも「クリ」の特徴です。いずれにせよ、火を入れすぎるとお肉が収縮して硬くなってしまうので注意が必要です。さっと火を通し、薄めに切って召し上がってください。

クリの名前の由来は、その形状に由来します。クリは三角形に似た形をしており、これは秋の味覚として親しまれている栗の形と似ているため、「クリ」と呼ばれるようになったという説があります。

クリのおいしい食べ方

牛ウデ肉の「クリ」は、赤身と脂身のバランスがとれた、濃厚な旨味が特徴の部位です。赤身が多いので、あっさりとした味わいが好きな方に最適です。

クリは、加熱しすぎると固くなってしまうため、焼き加減には注意が必要です。焼肉で楽しむ場合は、強火でさっと炙るように焼き上げ、レア気味に仕上げるのがおすすめです。表面に軽く焼き色がついたら、お好みのタレや塩コショウでいただきましょう。

また、塊肉をローストビーフのように、低温でじっくりと火を通すのもおすすめです。中心部がほんのり赤い程度に仕上げると、しっとり柔らかく、肉の旨味を存分に堪能できます。薄切りにして、わさび醤油やポン酢でいただくのがおすすめです。

その他にも、クリは煮込み料理にも向いています。カレーやシチューなどに使うと、肉の旨味が溶け出し、コク深い味わいになります。長時間煮込んでも固くなりにくいので、安心して調理できます。

ウデ肉のその他の部位

ウデ肉には、肩ロースや三角バラなど多彩な部位が存在します。肩ロースは適度な霜降りが特徴。

コサンカク(カワラ)

コサンカク(カワラ)は、一頭からわずか2kg程度しか取れない希少な部位で、肩の一部に位置しています。この部位は大きな三角形の「肩三角(クリ・クリミ)」の近くにあり、小さな三角形をしているため「小三角」と呼ばれます。また、ヤリやカワラとも称されます。見た目はサシが多く美しいですが、意外と固く、アクも強めの赤身肉です。

この部位は薄切りにして噛み締めて味わうのに適しており、独特な食感が楽しめます。

煮込み料理にはより固い部位であるマクラが使われることが多いため、小三角は焼肉用にカットして提供されることが一般的です。焼きすぎないようにミディアムレアまでに調理し、醤油や塩コショウで味付けするのがおすすめです。

マクラ(ニノウデ)

前脚のスネの上部に位置し、よく動くため筋や筋膜が多く、肉質は粗く固いです。しかし、エキスやゼラチン質が豊富で、濃厚な肉の味が詰まっています。そのため、ブイヨンや煮込み料理で旨味を凝縮させると非常に美味しくなります。

関西ではソトモモ部位のシキンボウも「マクラ」と呼ばれますが、これは前足か後ろ足かの違いによるものです。前足のマクラは別名「ニノウデ」とも呼ばれ、スネに近い硬い肉質が特徴です。特に煮込み料理に適していますが、4,5等級の黒毛和牛なら薄切りにしてしゃぶしゃぶや焼肉でも美味しく楽しめます。

焼き?煮込み?調理法別でおいしいウデ肉の部位!

ウデ肉は牛肉の中でも多様な料理に活用できる部位です。赤身が多く、適度な脂肪分を含むため、煮込み料理に最適。特に「ビーフシチュー」は、ウデ肉の旨みが存分に引き出される代表的な一

焼き肉におすすめなウデ肉の部位

  • ミスジ
  • ウワミスジ
  • コサンカク(カワラ)
  • クリ(柔らかい部位)

ステーキにおすすめなウデ肉の部位

  • ミスジ
  • クリ(柔らかい部位)

タタキや炙りにおすすめなウデ肉の部位

  • ウワミスジ
  • コサンカク(カワラ)

すき焼きにおすすめなウデ肉の部位

  • マクラ(ニノウデ)
  • とうがらし(トンビ)

ローストビーフにおすすめなウデ肉の部位

  • マクラ(ニノウデ)
  • とうがらし(トンビ)

煮込みにおすすめなウデ肉の部位

  • マクラ(ニノウデ)
  • クリ(かための部位)
  • とうがらし(トンビ)

まとめ

ウデ肉は多様な部位に分かれており、それぞれに独自の特徴があります。焼肉屋で人気のあるミスジやトウガラシ、クリもウデ肉の一部です。

部位ごとに異なる食感と味わいを楽しむことができるのがウデ肉の魅力です。例えば、ミスジは口の中でとろけるような食感があり、トウガラシはしっかりとした噛み応えがあります。クリはその中間で、どんな料理にも合う万能な部位です。

ウデ肉は精肉店やスーパーでも手に入りますが、最近では通販で和牛の高品質なウデ肉を購入することも可能です。通販ならば、産地直送の新鮮なウデ肉を自宅で楽しむことができ、選択肢も豊富です。特に和牛のウデ肉はその美味しさで一度食べると忘れられない味わいです。

食べ比べを楽しむために、複数の部位を一度に購入してみるのもおすすめです。ウデ肉の多様な風味と食感を堪能し、自分の好みの部位を見つけてみてください。

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