高級部位として名高いヒレとシャトーブリアン。この2つの違いをご存知でしょうか?
実は、シャトーブリアンはヒレの一部なのです。ヒレ肉の中でも、最も柔らかく風味豊かな部分がシャトーブリアンと呼ばれています。
日本の焼肉店やステーキハウスでは、どちらも人気のメニューとして提供されることが多いですね。しかし、その希少性や食感、味わいには微妙な違いがあります。
本記事では、ヒレとシャトーブリアンの特徴や魅力を詳しく解説していきます。最高級部位の奥深さを知れば、次に牛肉を楽しむ際の選び方も変わってくるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。
シャトーブリアンとは?その語源や部位
シャトーブリアンと聞くと他の牛肉の部位と比べいかにも高級感の漂う名前から、一体どんな部位なんだろう?と想像しませんか?ここでは
- シャトーブリアンの語源
- シャトーブリアンの部位
について説明します。
シャトーブリアンの語源
牛肉の部位の中でも、気品漂う響きを持つ「シャトーブリアン」。その名前の由来は、18世紀後半から19世紀初頭のフランスに生きたフランソワ=ルネ・ヴィコント・ドゥ・シャトーブリアンという人物に遡ります。
彼はフランス革命の激動期を生きた貴族であり、文筆家として著名なだけでなく、美食家としても知られていました。
シャトーブリアンは、牛のヒレ肉の中でも特に希少な中央部の部位をこよなく愛し、自身の専属料理人に命じて調理させては、その美味しさを存分に堪能していたそうです。そうした逸話から、この特別な部位は、彼の名にちなんで「シャトーブリアン」と呼ばれるようになったと言われています。
シャトーブリアンは牛のどの部位?
シャトーブリアンは、牛肉の中でも最高級の部位として知られています。牛一頭からわずか3%ほどしか取れないヒレ肉。そのヒレ肉の中でも、さらに希少な中心部分、大腰筋にあたるのがシャトーブリアンです。
ヒレ肉は牛の腰骨の内側にある細長い部位で、運動量が少なく柔らかい肉質が特徴です。シャトーブリアンは、そのヒレ肉の中でも特に肉質が良く、柔らかくきめが細かい肉質が特徴です。
牛一頭から取れるシャトーブリアンの量はわずか600g前後。その希少性と、とろけるような柔らかさ、そして濃厚な味わいから、「牛肉の女王」と呼ばれることも。
シャトーブリアンの味の特徴
シャトーブリアンは、牛の中で最も運動量の少ない部位から取れるため、非常に柔らかいのが特徴です。ヒレ肉も運動量が少ない部位ですが、シャトーブリアンはヒレ肉よりもさらに肉質が良く、どこを食べても同じ味と柔らかさが楽しめます。
シャトーブリアンは赤身肉でありながら、濃厚な味わいとうまみが豊富です。通常、柔らかい肉は霜降り肉のように脂身が多いものですが、シャトーブリアンは赤身肉でありながら柔らかいという特異な特徴があります。これは運動量が少ないために実現されています。
さらに、シャトーブリアンはきめ細かく、舌触りがとても良いです。脂質の摂取量を気にする人や高齢者でもさっぱりと食べられるため、幅広い層におすすめです。
シャトーブリアンとほかのヒレ肉部位との違い
シャトーブリアンはヒレ肉の中心部、ということをお話しましたが、ヒレ肉は全部で4つの部位に分割されます。ここではシャトーブリアンとは別のヒレ肉の部位として
- フィレミニョン
- テート
- サイドマッスル
の特徴をご紹介します。それぞれの特徴を知り、シャトーブリアンとの違いを知ることで、牛ヒレ肉の奥深い味わいを楽しめるはずです。
フィレミニョンの特徴
フィレミニョンは、牛のヒレの中でも、リブロース側に向かって細くなっていく部位を指します。最高級部位として知られる「シャトーブリアン」の次に位置付けられ、高級部位として扱われています。フィレミニョンは、ランプ側に向かって「トゥルネド」と「フィレミニョン」に分けられることもあります。(先の細い方がトゥルネド、奥の太さがでてくるにしたがってフィレミニヨンと分けます)
いずれも僅かな量しか取れない希少部位です。
フィレミニョンは、シャトーブリアンに比べるとサイズは小さくなりますが、きめ細やかで柔らかな肉質は健在です。霜降りが入りやすく、上品な味わいが特徴です。取れる身が細身なこともあり、フィレミニョンは厚切りにすることで、その柔らかさとジューシーさを堪能できます。
テートの特徴
テートは、牛のヒレの中でも、モモに近い部分のお肉です。赤身肉らしいしっかりとした旨味と、きめ細かい柔らかさが特徴です。
ヒレ肉の中ではサシが少なく、霜降りになりにくい部位なので、赤身本来の濃厚な味わいを楽しむことができます。丁寧に火入れすれば、柔らかくジューシーなステーキに仕上がります。脂が少ないためあっさりとした味わいですが、オイルでマリネすると風味が加わり、より美味しく召し上がることができます。
サイドマッスルの特徴
牛肉のヒレ肉から取れる「サイドマッスル」。帯と呼ばれるように、ヒレ肉に沿って紐状に存在する細長い部位です。多くの場合、ヒレステーキとして提供される際に一緒に味わえます。サイドマッスルは、柔らかくジューシーな肉質と濃厚な旨味が特徴で、ハラミやサガリにも似た繊維の柔らかさを感じられます。
細かなスジが入っていますが、丁寧に処理することで、ほどよい歯ごたえを楽しむことができます。ヒレ肉の中でもリーズナブルな価格設定ながら、その味わいに魅了されるファンも多い、知る人ぞ知る人気の部位と言えるでしょう。
シャトーブリアンの美味しい食べ方はステーキ一択!
シャトーブリアンは、厚くカットしても柔らかく、硬さが全く気にならない部位です。それでいて、驚くほど歯切れが良く、肉汁たっぷりで上品な味わいを楽しめます。
シャトーブリアンの上品な舌触りや柔らかさを最大限に活かすなら、やはりステーキが一番でしょう。おすすめは、弱火でじっくりと焼き上げたレア。焼き加減はミディアムレアまでにとどめましょう。強火で急激に火を通すとパサパサとした食感になり、せっかくの風味が台無しになってしまいます。
また、ごま油など香りの強い油や、エクストラバージンオイル、アマニ油のような煙点の低い油を使うのも、シャトーブリアンの繊細な風味を損ねてしまうため避けましょう。
シャトーブリアンと相性の良いお酒
ここではシャトーブリアンと合うお酒についてご紹介します。基本的にはお好きなお酒と合わせるのが一番だとは思うのですが、ぜひシャトーブリアンの濃厚な味わいに調和するお酒選びも試してみてください。
シャトーブリアンと相性の良いお酒:ワイン
シャトーブリアン。それは、牛一頭からわずかしか取れない希少部位であり、そのきめ細やかな肉質と芳醇な風味は、まさに肉の女王と呼ぶにふさわしいでしょう。そして、そんなシャトーブリアンの魅力を最大限に引き出すためには、ワインの存在が欠かせません。
シャトーブリアンは、その繊細な味わいを邪魔しない、まろやかでフルーティーな赤ワインとの相性が抜群です。例えば、ブルゴーニュ地方のピノ・ノワール種から作られるワインは、そのエレガントな酸味と果実味が、シャトーブリアンの上品な脂と見事に調和します。また、ボルドー地方のメルロー種を主体としたワインも、そのシルキーなタンニンと豊かな果実味が、シャトーブリアンの旨味を引き立ててくれるでしょう。
より濃厚な味わいを求めるならば、熟成したボルドーワインや、イタリアのバルバレスコなどもおすすめです。これらのワインは、しっかりとしたタンニンと複雑な香りが特徴で、シャトーブリアンの力強い味わいに負けることなく、互いを高め合うようなマリアージュを生み出します。
ワイン選び一つで、シャトーブリアンの味わいは無限に広がります。ぜひ、お気に入りのワインを見つけて、至福のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
シャトーブリアンと相性の良いお酒:ウイスキー
シャトーブリアンとウイスキーの組み合わせは、贅沢な食事体験を求める美食家たちの間で人気を集めています。シャトーブリアンは、牛フィレ肉の中でも最高級部位として知られ、その柔らかさと濃厚な風味が特徴です。一方、ウイスキーは複雑な香りと味わいを持つ蒸留酒で、この2つを合わせることで、互いの魅力を引き立て合う相乗効果が生まれるのです。
特に、シングルモルトウイスキーがシャトーブリアンとの相性が抜群です。例えば、スコットランドのハイランド地方で造られるマッカラン12年などは、フルーティーでスパイシーな風味がシャトーブリアンの旨味を引き立てます。また、アイラ島のラフロイグ10年のようなピート香の強いウイスキーは、肉の脂の濃厚さをさっぱりと切り、味わいのバランスを整えてくれます。
シャトーブリアンと相性の良いお酒:ビール
シャトーブリアンの濃厚な味わいは、コクと苦みを持つビールによって見事に調和されます。特に、黒ビールやIPAなど、しっかりとした味わいのビールは、シャトーブリアンの旨味をさらに引き立ててくれます。
口の中で広がる肉の旨味とビールの風味が織りなすハーモニーは、まさに至福のひとときと言えるでしょう。ご自宅でシャトーブリアンを楽しまれる際には、ぜひビールとのペアリングを試してみて下さい。いつもとは違う、ワンランク上の晩酌を体験できるはずです。
シャトーブリアンはどこで購入できる?
牛シャトーブリアンを一度食べてみたい。そう思ってもなかなか機会がないという人も多いかもしれません。幻の部位とも呼ばれるシャトーブリアンは、一頭の牛からわずかしか取れない希少部位。ここではシャトーブリアンを購入する際に気をつけておきたいこととして
- 常時販売されているわけではない
- 希少性が高いため値段も高い
ということをお伝えしておきます。
希少部位ゆえに買いたい時に買えないことがある
シャトーブリアン。高級レストランや料亭でその名を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。実はこのシャトーブリアン、スーパーや精肉店で偶然出会えることだってあるんです。ただし、それはまさに「幻」級。なぜなら、一頭の牛からほんのわずかしか取れない、非常に希少な部位だからです。
お店に並んだとしても、その日のうちに売れてしまうことも珍しくありません。幻のシャトーブリアンを求めて、スーパーや精肉店を巡り歩くのは至難の業と言えるでしょう。
確実に手に入れたいのであれば、通販の利用がおすすめです。通販でも、常に販売されているとは限りません。しかし、スーパーや精肉店で見つけるよりは、出会える確率はぐっと高まります。
いつでも手に入るとは限らない。だからこそ、その味わいは格別。幻のシャトーブリアンを、ぜひ一度ご賞味あれ。
希少性が高いため値段も高い
シャトーブリアンは、牛1頭からわずかしか取れない希少部位です。そのため、ごく限られた量しか市場に出回らず、必然的に価格が高騰する傾向にあります。一般的なスーパーなどで見かけることは稀で、高級レストランや精肉店などで取り扱われることがほとんどです。
通販サイトでは、100gあたり3,000円から6,000円程度で販売されているのを見かけますが、これはあくまで一般的な牛肉の場合です。ブランド牛となると、その価格はさらに跳ね上がり、10,000円を超えることもしばしばあります。
しかし、これはシャトーブリアンの最上級の味わいゆえ。口に入れた瞬間に広がる芳醇な香りと、とろけるような柔らかさは、まさに至福の一言。特別な日のディナーや、大切な人への贈り物として、その価値を存分に味わいたいものです。
おいしいシャトーブリアンの選び方
シャトーブリアンはスーパーではなかなか手に入りませんが、精肉店で販売していることがあるので、ショーケースを見て購入する機会があると思います。シャトーブリアンを見つけた時は以下の点に注意して質の良い肉を選んで購入しましょう。
- シャトーブリアンの肉の色
- シャトーブリアンから出るドリップ
- シャトーブリアンの牛の種類
これらをチェックしてから購入することをおすすめします!
シャトーブリアンの肉の色
新鮮なシャトーブリアンは、鮮やかな赤身とほんのりとしたピンク色が特徴です。切り口はみずみずしく、つややかな光沢を帯びています。逆に、時間が経つにつれて、表面は酸化し、茶褐色に変色していきます。新鮮なシャトーブリアンを選ぶ際は、赤身の鮮やかさに加え、ピンク色の部分にも注目してみましょう。
シャトーブリアンから出るドリップ
シャトーブリアンに限らず、牛肉から赤い液体が出てくることがありますが、これは「ドリップ」と呼ばれ、品質と深く関わっています。ドリップの正体は、牛肉中の水分とミオグロビン、そして旨味成分やビタミンなどが溶け出したものです。
美しい赤身と柔らかな肉質で知られるシャトーブリアンですが、ドリップが多い場合は注意が必要です。ドリップが多いということは、それだけ肉の保水力が低下しているサインと言えるでしょう。 肉の保水力は、鮮度や保存状態によって大きく左右されます。
シャトーブリアンの牛の種類
牛肉は、その種類によって風味や食感が異なります。まず、アメリカ産牛肉やオーストラリア産牛肉などの輸入牛肉があります。特にオーストラリア産牛肉は、牧草を主食として育てられるため、独特の風味や臭みが感じられることがあります。これを軽減するためには、ハーブやスパイスを使った調理法が効果的です。
一方、和牛は日本で生まれ育った黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4種類に分類されます。その中でも黒毛和牛が最も一般的で、市場に多く出回っています。褐毛和種、日本短角種、無角和種は希少で、高級品として扱われることが多いです。
和牛の特徴として、ラクトンという香り成分が含まれており、これが和牛特有の甘い風味を生み出します。また、牛の種類によってシャトーブリアンの味わいや食感にも違いが出てきます。例えば、黒毛和牛のシャトーブリアンは非常に柔らかく、口の中でとろけるような食感が楽しめます。
まとめ
シャトーブリアンは、一頭の牛からわずか600gほどしか取れない希少部位です。これは、牛のフィレ肉の中でも特に運動量の少ない部分を指し、名前の由来はフランスの小説家フランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアンに由来すると言われています。
シャトーブリアン最大の特徴は、その柔らかさにあります。脂肪が少ない赤身肉でありながら、きめ細かい肉質ととろけるような舌触りは、まさに牛肉の最高峰と言えるでしょう。霜降りが苦手な方でも、赤身肉の旨味を存分に味わえると評判です。
特別な日や自分へのご褒美に、ぜひシャトーブリアンを味わってみてはいかがでしょうか。きっと忘れられない食体験になるでしょう。