牛肉の希少部位である「トウガラシ」。肩甲骨付近に位置し、赤身らしい濃厚な旨味が特徴です。焼肉店でも特別扱いされることが多いですが、
「トウガラシってどこの部位?」
「トウガラシと他の牛肉の部位と何が違うの?」
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。この記事では、そんな希少部位である牛肉のトウガラシについて、その部位の特徴や味わい、おすすめの食べ方や合うお酒などについて解説します!
牛肉の部位としてのトウガラシとは
ここでは牛肉の部位「トウガラシ」について
- トウガラシの部位や特徴
- トウガラシの味わいや食感
などについて解説します!
トウガラシの部位の特徴
牛肉のトウガラシは、肩甲骨付近の部位で、唐辛子のような形をしていることからその名がつきました。1頭から2kgほどしか取れないため、希少部位として扱われます。なじみの薄い部位かもしれませんが、ヒレ肉に似た形をしており、棒状のヒレ肉を少しカーブさせ、野菜の唐辛子を思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。関東では「トウガラシ」、関西では「トンビ」と呼ばれることもあります。
トウガラシは、よく動く肩周りの筋肉のため、赤身で細かい繊維が多く見られます。しかし、ヒレ肉と同様に柔らかく、歯切れの良さが特徴です。噛みしめると繊維を感じますが、硬さはなく、非常に食べやすい部位と言えるでしょう。
希少性の高さから市場にあまり出回らないトウガラシですが、最上級クラスのヒレ肉と比べると、価格は約半分と非常にお買い得です。
トウガラシの味わいや食感
トウガラシは、さっぱりとした味わいが魅力ですが、噛めば噛むほど濃厚な旨みが楽しめます。赤身肉の特徴である、牛肉本来の旨みを存分に味わえる部位と言えるでしょう。
肩の一部であるトウガラシは、肩ロースのような霜降り肉を想像する方もいるかもしれません。しかし、見た目はヒレ肉、肉質はモモ肉に似ており、よく動かす腕に近い部位のため、程よい弾力があります。内側には細かなサシが入っていますが、味わいは非常にさっぱりとしています。
しっかりと噛みしめることで肉の旨みが口の中に広がり、濃厚な味わいが堪能できます。繊維質もしっかりとしているので、噛みしめる旨味に牛肉を食べたという満足感を強く感じられるでしょう。
トウガラシと他の牛肉部位との違い
牛肉には多くの希少部位があり、その中でもトウガラシはジューシーな食感で知られています。他の希少部位と比べることで、トウガラシの特長や魅力がより一層際立つでしょう。
今回は、トウガラシと他の希少部位の違いについて詳しくご紹介します。
トウガラシとシンシンとの違い
シンシンとトウガラシは、どちらも牛肉の赤身肉として人気ですが、味わいや肉質に違いがあります。
シンシンは、もも肉の一部であるシンタマという部位に位置し、牛肉の中でも脂身が少ないのが特徴です。きめ細やかな肉質で柔らかく、赤身本来のコクと上品な風味が楽しめます。脂身が少ないため、あっさりとした味わいを好む方や、健康を意識する方におすすめです。関西では「マルシン」とも呼ばれ、親しまれています。
一方、トウガラシは、肩甲骨の一部である肩バラ肉に位置し、シンシンよりも肉々しい風味が特徴です。赤身と脂身のバランスが良く、ジューシーな味わいが楽しめます。肉本来の力強い風味を味わいたい方におすすめです。
トウガラシとカイノミとの違い
カイノミとトウガラシは、どちらも牛の希少部位であり、それぞれ独特の魅力を持っています。カイノミは腹部の肋骨下に位置し、牛一頭からわずかしか取れない貴重な部位です。きめ細かな肉質と美しい霜降りが特徴で、脂が控えめなのであっさりとした味わいを楽しめます。胃もたれを気にする女性でも、気軽に美味しく食べられるのが魅力です。焼肉やミディアムレアのステーキとしていただくのがおすすめです。
一方、トウガラシは肩甲骨周辺の部位で、赤身の旨みが強いのが特徴です。適度な歯ごたえとコクのある味わいがあり、ステーキやローストビーフに最適です。脂肪が少なくヘルシーなので、健康志向の方にも人気があります。
両者の違いは、部位と肉質にあります。カイノミは霜降りが入り柔らかく、脂身が少ないためあっさりとしています。トウガラシは赤身主体でしっかりとした食感と深い旨みを持ちます。
トウガラシとクリ(肩三角)との違い
クリ(肩三角)とトウガラシは、牛の肩の部位に位置する赤身肉でありながら、それぞれ異なる特徴を持っています。
クリは、牛の前脚の上部にあたる部位で、適度な運動量により脂肪が少なく、濃厚な味わいが楽しめます。肉質はやわらかく、赤身肉ならではの風味と旨みをしっかり感じられるのが魅力です。その形状が栗のような三角形であることから「クリ」と呼ばれています。ご年配の方でも食べやすいくらい、さっぱりとした口当たりが特徴です。
一方、トウガラシは肩から腕にかけての部分で、クリよりもさらに運動量が多いため、脂肪分がほとんどなく引き締まった肉質が特徴です。味は非常に濃厚で、赤身肉の深い旨みを堪能できますが、クリに比べてやや硬めの食感があります。その名前は形状が唐辛子に似ていることに由来します。
両者は赤身肉好きの方におすすめの部位ですが、クリはよりやわらかく食べやすい赤身肉を求める方に、トウガラシはしっかりとした噛みごたえと濃い味わいを楽しみたい方に適しています。
トウガラシを美味しく楽しむ方法
トウガラシを美味しく楽しむ方法は、肉の旨みと組み合わせることです。おすすめは、焼肉、ローストビーフ、ステーキなど。牛肉本来の味わいが強い赤身肉と、トウガラシの刺激は相性抜群です。
特に、シンプルに塩コショウで味付けしたステーキは、肉の旨みをダイレクトに感じられ、トウガラシの風味が引き立ちます。焼き加減はレアがおすすめ。表面を香ばしく焼き上げ、中はジューシーに仕上げることで、より一層肉の旨みを引き出すことができます。
また、ニンニクを効かせた醤油ベースのソースも、トウガラシとの相性が抜群です。ご飯が進むこと間違いなしの組み合わせなので、ぜひ試してみてください。
良質なトウガラシを選ぶコツ
ここではトウガラシをスーパーや精肉店などで購入する際の注意点をおまとめしました!鮮度の良い、美味しいトウガラシを選ぶために重要なポイントは…
- トウガラシ部位の赤身の色
- トウガラシ部位からドリップが出ていないか
の2点です。詳しく解説します!
鮮やかな赤色を確認
鮮やかな赤色をしたトウガラシは、見た目だけでなく、味にもその特徴が現れます。淡い赤色や黒っぽい赤色よりも、鮮やかでツヤのある濃い赤色のトウガラシを選ぶことで、より濃厚な旨味と風味を楽しむことができます。
トウガラシは霜降りで見分けることが難しい部位ですが、鮮やかな赤色をしているものが良質な証拠です。 通販で購入する際は、産地だけでなく、肉の画像をよく見て、鮮やかな赤色をしたトウガラシを選びましょう。
ドリップの有無をチェック
スーパーの精肉コーナーで、パックされたお肉から赤い液体が染み出ているのを見かけたことはありませんか? あれはドリップと呼ばれるもので、肉の旨み成分を含む肉汁が流れ出てしまっている状態です。
新鮮なトウガラシはドリップが出にくい部位。しかし、時間が経つにつれて乾燥し、保水力が低下してしまうためドリップが発生しやすくなります。
新鮮なトウガラシはハリとツヤがあり、弾力があるのが特徴です。パック詰めの場合は、ドリップが出ていないか、しっかりと確認しましょう。購入後はできるだけ早く調理し、トウガラシ本来の美味しさを味わってください。
牛肉のトウガラシ部位に合うお酒
ここではクリミのさっぱりとした美味しさにぴったり合うお酒をご紹介します!
牛肉のトウガラシ部位に合うお酒①ビール
牛肉のトウガラシは、赤身肉の濃厚な旨味と、噛みしめるほどに溢れ出す肉汁が魅力の部位です。この力強い味わいのトウガラシ肉には、実はビールが最高の相棒になり得ます。
まずおすすめしたいのは、軽やかなのど越しが特徴のラガービールです。ラガービールの爽快感は、トウガラシ肉の脂っぽさを洗い流し、後味をさっぱりとさせてくれます。特に、キレのある味わいのドライタイプは、肉の旨味をより一層引き立ててくれるでしょう。
一方、コクと苦味を兼ね備えた黒ビールも、トウガラシ肉との組み合わせに最適です。濃厚な黒ビールの味わいは、赤身肉特有の力強い旨味と絶妙に調和し、奥深いハーモニーを生み出します。脂身が少ないトウガラシ肉には、コク深い黒ビールがおすすめです。
牛肉のトウガラシ部位に合うお酒②赤ワイン
牛肉のトウガラシ部位は、その赤身の旨味と繊細な風味が魅力で、赤ワインとのペアリングが特におすすめです。例えば、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズなどのフルボディの赤ワインは、力強いコクと芳醇な香りを持ち、トウガラシ肉の味わいを一層引き立てます。
また、牛肉と赤ワインは共に乳酸を含み、口の中で驚くほどの調和を生み出します。ただし、すべてのフルボディ赤ワインが最適なわけではありません。渋みと酸味のバランスが取れた銘柄を選ぶことで、トウガラシ部位の美味しさを最大限に楽しむことができます。具体的には、フランスのボルドー産やイタリアのバローロなどが良い選択肢となるでしょう。
牛肉のトウガラシ部位に合うお酒③日本酒
牛肉の希少部位であるトウガラシは、その濃厚な旨味で食通たちを魅了します。この深い味わいの肉に合わせるお酒として、日本酒は絶妙なペアリングです。肉の力強い旨味と脂のコクに、日本酒のキレの良さが見事に調和します。
特におすすめなのが、純米吟醸酒です。純米吟醸酒は、フルーティーな香りと深みのある味わいが特徴で、トウガラシの風味を一層引き立てます。例えば、兵庫県産の酒米「山田錦」を使用した純米吟醸酒は、そのバランスの良さで知られています。
また、純米大吟醸酒と比べて香りが控えめなため、肉の味を邪魔せずに楽しめます。日本酒が脂をさっぱりと洗い流してくれるので、最後まで飽きることなく食事を満喫できます。
まとめ:トウガラシの赤身特有の旨味をじっくり味わおう!
牛トウガラシは、きめ細かい繊維が特徴の赤身肉です。その歯切れの良さは、牛肉本来の旨味をしっかりと感じさせてくれます。噛むほどに肉の繊維を感じられますが、決して硬いわけではなく、むしろその食感が食欲をそそります。
赤身肉でありながら、ジューシーさも兼ね備えているため、一口食べれば牛肉を堪能したという満足感に満たされるでしょう。牛肉本来の旨味を味わいたい方は、ぜひ一度牛トウガラシをご賞味ください。